韓国の結婚式は日本とは大きく異なります。
今回は韓国人と国際結婚をした筆者が、実際に韓国で結婚式を挙げて分かったことについて紹介します。
日本と韓国の結婚式の違いは?
日本と韓国では、そもそも『結婚』への考え方が大きく異なります。
日本では、結婚は法律に基づいて夫婦になることを意味します。そのため、結婚式を挙げるかどうかは個人の自由であり、結婚式を挙げなくても婚姻届けを提出すれば、全体の共通認識として結婚は成立します。
一方、韓国では、結婚は家族や親族のつながりを重視する伝統的な儀式と考えられているため、法律に基づいて婚姻届を提出することよりも、結婚式を挙げたかどうかを結婚の指標にする人が多いです。
そのため、韓国では結婚式を挙げない人がほとんどいません(少なくとも聞いたことがない)
このように韓国では、ほとんどの人が結婚式を挙げるため、主催者とゲスト双方の負担にならないよう、結婚式にかかる費用や時間、労力、ご祝儀などが日本に比べて割安でカジュアルな傾向があります。
日本と韓国の結婚式の主な違いは以下の通りです。
式のスタイル・食事・時間
韓国の一般的な結婚式は、日本よりもカジュアルで簡素な傾向にあります。
披露宴はなく、食事はビュッフェスタイルが一般的です。そのため、結婚式の時間は日本よりも短く1時間程度で終わります。席順も決まっていないため、自由に食事を楽しみ食べた人から退席、帰宅します。
韓国の結婚式場は費用が比較的安価な分、回転率を上げることで利益を上げています。なかには1日に6回転する式場もあるんだとか(笑)
ご祝儀の金額
<日本のご祝儀の相場>
- 家族・・・10万円〜20万円
- 親族・・・5万円〜10万円
- 友人、会社の同僚・・・3万円〜5万円
日本では結婚式のご祝儀は、3万円を基本として考えます。
内訳はお祝い金が1万円、引き出物代を含めた飲食代が2万円です。
日本の結婚式ではコース料理を含む飲食代・引き出物代が必ずかかるので、3万円以下になると主催者側の赤字になる可能性があります。
<韓国のご祝儀の相場>
- 親族・・・20万ウォン〜(2万円〜)
- 関係が近い友人、会社の同僚・・・10万ウォン〜(1万円〜)
- 関係が浅い知人、結婚式に出席しない人・・・5万ウォン〜(5千円〜)
日本は家族もご祝儀を包みますが、韓国の結婚式では家族はご祝儀を出さないのが一般的のようです(結婚準備金にお金がかかるため)
韓国の結婚式は、ビュッフェスタイルで引き出物がないのが一般的です。
そのため、日本よりもご祝儀の相場が安く、10万ウォン(1万円)を基本として考えます。
内訳はお祝い金が5万ウォン、飲食代が5万ウォンです。
韓国では、関係が浅い人や遠い親戚、両親の友人まで式に招待するのが一般的です。そのためお祝い金を送金するだけの人もいます。その場合は飲食代がかからないので、5万ウォンでも問題ありません。
ちなみに韓国では招待状に口座番号が記載されているので、式に参列しなくてもお祝い金だけ送金します。
以前はご祝儀の相場がもう少し安かったそうですが、最近の物価高の影響で10万ウォン以上を包むのが暗黙のマナーなんだとか。
参列者の服装
韓国の結婚式に参列する際の服装は、日本よりもカジュアルな傾向にあります。
男性はジャケットスタイルやスーツ、女性はワンピースやセットアップなど、綺麗めな服装を選んでおけば間違ありません。
ただし、あまりにもラフな服装や、露出の多い服装、新婦のウェディングドレスと被る白い服装は避けるのがマナーです。(日本ではマナー違反とされる爪先が出るオープントゥシューズやサンダル、ブーツ、肩が出るトップスなどは問題ありません。)
韓国の結婚式は、日本よりもカジュアルな雰囲気で行われますが、それでも結婚式であることに変わりありません。
失礼にならないよう、清潔感がある綺麗めな服装を心がけましょう。
結婚式の流れ
式のスタイルによって多少変わりますが、韓国の一般的な結婚式の流れは下記の通りです。
私が実際に行った結婚式(人前式)を例に、韓国ならではの結婚式の様子を紹介していきます。
- 개식선언(開式宣言)
- 화촉행진(キャンドル点火)
- 신랑입장(新郎入場)
- 신부입장(新婦入場)
- 맞절(お辞儀)
- 혼인서약(婚姻誓約)
- 반지교환(指輪の交換)
- 성혼선언(成婚宣言)
- 덕담(祝福の言葉)
- 축가(祝歌)
- 부모님 및 내빈께 인사(両親及び来賓への挨拶)
- 신랑신부 행진(新郎新婦退場)
- 写真撮影・ブーケトス
【화촉행진(キャンドル点火)】
韓国の結婚式では、新郎新婦の入場の前に『母親が手を繋いで入場しキャンドルを点火』します。
これは華燭点火といい、両家の結合と2人の未来を明るく照らすという意味が込められた韓国の結婚式を象徴する儀式なんだとか。
【축가(祝歌)】
韓国の結婚式では祝歌を歌うのが定番です。(一般的な式ではここが唯一の余興です)
新郎が新婦に向けて歌うことはもちろん、友人に歌ってもらうこともあります。私たちは新郎側の友人(日本人)にONE OK ROCKのWherever you areを生演奏で歌ってもらいました。
【ブーケトス】
一旦退場した後にすぐ式場に戻り、写真撮影とブーケトスをします。
韓国の結婚式では、ブーケを受け取る人をあらかじめ指定しておき、花嫁はその人に向けてブーケを投げます(投げる意味あるのか?笑)
これは、韓国には『ブーケを受け取った人は6ヶ月以内に結婚しないと3年結婚できない』という迷信があるからなんだとか。
私を含め、周りが30代なのでいろんな意味で気を使いましたが(笑)、結婚の予定がある友人に受け取ってもらいました。
ここまでを1時間程度で行い、ビュッフェ会場に移動→食事→終了という流れが韓国の一般的な結婚式です
韓国の結婚式について気になるQA
韓国の結婚式はチマチョゴリを着る?
最近の韓国の結婚式は、現代式のウェディングが主流です。
そのため式では、ウェディングドレスを着ることがほとんどですが、お色直しがある2部式の場合はチマチョゴリに着替える人もいます。
また、最近は省略する人が多いようですが、韓国の結婚式では、式とは別に韓国の伝統的な儀式「幣帛(ペベク)」を行うケースもあります。
ペベクは、新郎新婦と親族のみで行われ、ゲストが食事をしている間に別室にて行われます。この時に着る衣装が、韓国の伝統衣装である韓服(ハンボク)で、新婦はチマチョゴリを着ます。
私はお色直しはカラードレスにし、かつペベクをしなかったのでチマチョゴリは着ませんでした
国際結婚の場合両家の親は何を着る?
韓国の結婚式では両家の母親は、韓国の伝統衣装である韓服(チマチョゴリ)を着て参列するのが一般的です。
日本と韓国の国際結婚の場合は、日本側は着物、韓国側はチマチョゴリを着る場合が多く、韓国ソウルには、日本人向けの着物の着付け・レンタルショップが複数あります。
私が利用したショップは、着物のレンタル・着付け・出張全て込みで35万W(35,000円)でした
韓国の結婚式にかかる費用はどのくらい?
結婚式にかかる日本と韓国の平均をみていきましょう。
<日本全国平均>
調査年度 | 2020年 | 2021年 |
人数 | 66.3人 | 42.3人 |
費用 | 362万3,000円 | 292万3,000円 |
日本では結婚式に招待するゲストの平均人数は例年70人程度。2021年はコロナ禍の影響で少人数になったため、その分費用が減少しています。
全体の割合でいうと、50〜100人ほどの規模が5割以上と一番多く、30〜50人は2割、30人未満と100人以上は1割ほどです。
<韓国平均>
調査年度 | 2023年 |
人数 | 264人 |
費用 | 5073万W(507万円) |
一方、韓国は人脈社会なので、結婚式に呼ぶゲストがどうしても多くなります。
私たちは生活の拠点が日本のため、ゲストが少なかったですがそれでも200人規模でした。
ちなみに義理の弟の結婚式は500人規模で、式場の金額は700万円かかりました。
このデータを見ると、結婚費用が思ったより高く感じますが、韓国の結婚費用には結婚式代だけでなく、結婚準備金も全て含まれるのが一般的。(結婚式代のみは平均1390万W)
<結婚費用内訳>
- 嫁入り道具1573万W
- 結婚式ホール1057万W
- 礼緞(女性側が男性側に送る費用)797万W
- 礼物(時計や指輪)739万W
- 新婚旅行485万W
- ウェディングパッケージ(スタジオ、ドレス、メイクアップ)333万W
- イバジ(新婦の母親が用意する料理)89万W
ちなみに、韓国では男性側が住居を準備するという習わしがあり、住宅費用の平均が2億7977万Wです。(2,797万円)
結婚費用に住宅費も入れると、結婚費用の平均総額がなんと3億3050万W(3,350万円)。
韓国は、結婚式を挙げる費用は安いですが、結婚するために必要な費用が莫大というトリックがあるのです。。。
韓国は結婚にかかる費用が高いため、結婚できない人や結婚しない選択をする人が増えているんだとか…。
韓国で結婚式をしたら色々すごかった(笑)
韓国で実際に結婚式を挙げてみて、文化の違いに驚きつつも経験としてとても面白かったです。
韓国の빨리빨리(早く、早く)文化は、結婚式でも変わらず(笑)
はじまりから終わりまでが約1時間。日本人からすると『???』という部分も多々ありましたが、主催者としてもゲストとしても時間や金額の負担が少なく合理的で良いですよね。
韓国の結婚式に呼ばれた方はぜひ参考にしてくださいね。